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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(あ)5475号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人川添清吉の上告趣意は、原審において主張判断のない事項に関するもので上告適法の理由とならず、また論旨は単なる訴訟法違反の主張であって刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない(所論各書類が第一審において検察官から証拠として提出せられ適法な証拠調がなされたか否かは、訴訟記録によってこれを明らかにすることができないこと、所論のとおりである。しかし第一審第五回公判調書には「証拠に関する事項、別紙証拠関係目録記載のとおり」と記載されているにかかわらず、その別紙が添付されていない(その別紙の部分は欠丁とされており、契印も合わないところを見ると、調書作成当時は右別紙が添付されていたものと推察される)から、右別紙記載に譲られた事項につき当裁判所は職権により調査したところ、所論各書類は第一審第五回公判において検察官から証拠として提出され適法に証拠調がなされたものであることを、第一審裁判所の裁判官書記官補の回答書により充分認めることができるのである。)

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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